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「オホーツク文化」補遺 司馬遼太郎「オホーツク街道」 [海牛]

「ステラー海牛を巡る話」に「オホーツク文化」の話を書こうとしたときに、
司馬遼太郎の「オホーツク街道」がこれを扱っていることを知ってはいて、
しかし、これを読んでおらず、読まないままに記事を書きました。

とは言え、言及する責任があろうかと、出張のついでにこれを読みまして、
ここで補遺と言うようなかたちで載せようとたくらんでみました。
この記事は司馬遼太郎の「オホーツク街道」の感想文です。
オホーツク文化に興味を持って頂けた方には、読んで頂きたい本です。

オホーツク街道―街道をゆく〈38〉

オホーツク街道―街道をゆく〈38〉

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1997/01
  • メディア: 文庫

これはオホーツク文化の周辺を知るには格好の本であろうとは思います。
ほかのマイナーな本よりはよほど手に入りやすいでしょうし。
そもそも面白かった。

ただ、オホーツク文化に関しては、先に私が書いたことからそれほど大きく
変わる話ではなく、それほど深い突っ込みもなく、また、
ステラー海牛には一切触れられておらず、
個人的には多少残念な面もございました。

たぶんそれだけ、オホーツク文化のことはよくわからないのでしょう。
司馬遼太郎をもってしても、よくわからない謎の国なのでしょう。

それなのに面白いのか?
そもそも「街道をゆく」シリーズのこの本は、旅をして人と
出会い、横道にそれて薀蓄を語るという趣向で進む話で、
一つ一つのトピックスがとても面白い。オホーツク文化を離れて
面白いのでした。
まあ、「オホーツク文化」は話の枕くらいで。
普通に読めば、特に北海道出身者としては、ずいぶん楽しめました。

ただ、単純に面白いというのは少し不謹慎かもしれません。
例えば、オホーツク文化と関連深い少数民族として、樺太の
ニブヒ(ギリヤーク)、ウイルタ(オロッコ)の人々が出てきますが、
それらがその文化を失っていく姿が、いくつか書かれています。
1人の老女の死で、一つの言語が消える様子が書かれたりしています。
 少数民族の話など、遠い国、遠い過去の話に思っていましたが、
生まれ育った土地のすぐそばで、そして自分の生を受けて以後の時代に、
消えて行く民族の文化、言語、血筋があったことがわかりました。

そんな話ばかりではなく、心温まる話の方が多いのですが、
心に残るのは、少し重い話の方だったりします。




 ああ、でも一つ、教えられたことがあります。
「私達日本人は、アイヌ、そしてそれと血を交えたオホーツク人の
血を引いている。その証拠には、すね毛がある。」
 
 韓国人などはすね毛がほとんどないそうです。
 トリビアの泉に出しましょうかね?


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コメント 7

yoku

司馬遼太郎。今まで、(週間朝日連載以外)あまり読んだことありませんでした。これを機に読んでみようかなと思います。
(注:やっとniceの入れ方が分かりました。今まで入れたつもり
 でいました。なんとドジ、申し訳ありません)。
by yoku (2005-11-16 06:23) 

春分

yokuさん、
読んでみようなどと、うれしいコメントです。
yokuさんのブログの欧州のお城や家並みを見ると安野光雅さんの世界が思い起こされることがあります。「オホーツク街道」には司馬遼太郎と安野光雅の出会いの話も脈絡なく登場します。困った逸脱ぶりです。
by 春分 (2005-11-16 11:57) 

mippimama

こんにちは
春分さんは、色々勉強されてて感心します。
オホーツク街道にもステラー海牛が登場しないとなると春分さはこの道の
権威ですね〜
 
by mippimama (2005-11-16 14:02) 

Silvermac

「街道を行く」シリーズは何冊か読んでいますが、この本は読んでいません。「私達日本人は、アイヌ、そしてそれと血を交えたオホーツク人の血を引いている。その証拠には、すね毛がある。」、これは初耳です。すね毛が薄いと韓国系でしょうか。
by Silvermac (2005-11-16 15:55) 

春分

mippimamaさん、
いやいや本業の方をずいぶん勉強しないといけないのですが、
サボりっぱなしで。
ですが、確かにステラー海牛のことをもう少し調べたくなりました。

SilverMacさん、
SilverMacさんは薄い方でしょうか?韓国・中国系は薄いとありました。
やはりこの本の中に「金(こん)」後に転じて「今(こん)」姓の話が出てきます。私の中学の友人にも「今くん」がいました。この姓は女真の系統かと考察しています。満州系というか韃靼系というか。だんだんすごい話になってきます。
私はずいぶん眉毛が濃いので、どう考えても北の血が濃いようです。
by 春分 (2005-11-16 17:55) 

lingnam

書棚の奥にしまいこんでいた「オホーツク街道」を久々に
取り出してみました。内容スッカリ忘れてます。。。^^;
一月に稚内へ行く予定なので読み返してみまーすv
すね毛・・・そうそう!中国人も韓国人もないんですよねえ。(観察済み)
ひげも薄いんですよ、あちらの方々。不思議ですねえ。
by lingnam (2005-11-17 09:42) 

春分

lingnamさん、
「オホーツク街道」をお読みになってたんですね。
また、貴重な証言を頂きありがとうございます。
この時期に稚内へお出かけになるというのもなかなかすごいですね。
私は夏しか行ったことがありません。それでも寒そうな土地でしたが。
by 春分 (2005-11-17 21:21) 

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