ステラーの航海(長い冬) [海牛]
博物学者ステラーの航海の物語「そこに海尽きるところ」ですが、
読み終えてしまって、書くモチベーションが下がっておりましたね。
先に7月半ば、ユリの咲く頃に書いてから、暫く間が開きました。
実は、7月にもう1記事分書いてましたが、他の記事を先に載せている
うちに、10月になっていました。
最近当ブログを覗いて下さった方は海牛が何だかわからないでしょう。
いつもの通り案内を書きますが、サイドバーのマイカテゴリーで「海牛」
を見て頂くか、手っ取り早くは下記の記事をご覧下さい。
毎回申しますがカイギュウです。ウミウシではありません。
ステラー海牛を巡る話(2) ExploreNorthの記事(前編)
ステラー海牛を巡る物語(3) ExploreNorthの記事後半
「ステラー海牛」とそれを発見した博物学者ステラー、
そして、壮絶なベーリングとのアラスカ発見への旅が・・・・。
では、再開します。
ステラーの乗る聖ピョートル号は陸から200kmを隔てた無人島に漂着
しました。最初は僅かに残っていた希望、即ちそこがカムチャツカ半島の
一部であるとの希望は絶たれ、頼りにしたベーリング提督を失い、ここに
長い冬を迎えていました。
第6章のタイトルは「長い冬」。
厳しい冬ですが、希望のない冬ではありませんでした。
ベーリングの死は12月8日でした。
ベーリングの葬儀を終え、迎えたクリスマスは、もちろん質素なものでした。
パンを焼くオーブンもありませんでしたが、聖ピョートル号から回収できた
ライ麦の粉はお湯に溶いて料理しました。あるいはロシアふうの揚げパンを
アザラシの油で揚げました。それにラッコのスープ(まだ食べてたのか?)、
捕らえられたアザラシの肉はそこそこおいしいものでした。
クリスマスの賛美歌をステラーが歌いました。
先に書いた通り、かつてステラーは教会の少年コーラス隊の一員であって、
その父はオルガン奏者でコーラス隊の指揮者でした。ステラーの美しいテナー
が漂着者の島に流れ行き、ドイツ語やロシア語で共に歌う声が重なりました。
ステラーは、ベーリングの死後、少し変わりました。ベーリングのやさしさ
忍耐力を少し身につけ、人々のために働くようになりました。献身的に病人
を助け、希望を失がちなすべての漂着者たちをやさしく勇気付けました。
ワクセルも、最初は嫌っていたこの短気な博物学者について、心から見直し、
「ステラーが問題を解決し誰もを勇気付ける」と評価するようになりました。
そして誰もがそれぞれの仕事を見つけ働くようになりました。
ワクセルはワクセルで、やはり先任者ベーリングのリーダーシップにならい、
厳しい状況の中、よく統率者として働いたようです。
ステラーが水夫たちの暇つぶしに遊びで動物を狩ることや、金を賭けたカード
ゲームに正式な抗議を申し出ましたがワクセルはなだめすかして聞きません
でした。水夫たちの何たるものかをワクセルは知っていました。
ドイツ人の得意なことロシア人の得意なことを分担し必要なものを得ました。
誰もが料理人や大工や皮なめし職人として働き、燃料や食料を集め、家を整え
冬越しのために働きました。
燃料の流木は日々見つけ出すことが難しくなっていきましたし、食料のラッコ
も得がたくなってきました。
ベーリング島が島であることは、何度かの探査隊の報告で確かなものとなって
行きました。探査の結果として、西海岸の新たな食料(すなわちラッコ)や
流木を見つけることともなりましたが、わずかな希望を持っていた人達には
ここが陸地ではないという最終報告は残念なことであったはずです。
また、島は東西には狭い島でしたが、山越えはたやすくはなく、ブリザードに
襲われて、雪に閉ざされ、ある者は目を失いかけ、ある者は手足を失いました。
ステラーのコサック、リプキンもまた吹雪に命を落としかけましたが、必死の
ステラーが助け、看病し、事なきを得ました。
(ゆっくり書いているのもどうかと思うようになりましたので、
これからは少しはしょって進めます。今までもまあそうでしたが。)
冬の間に会議が持たれました。
「冬を越して、われわれはどのように帰還したものか」
いくつかの選択肢があるように思えました。
多人数乗りの上陸用ボートは健在でしたので、これに帆をつけて数人で陸地
を目指し助けを呼ぶという案は妥当な案に思われました。
ただ、これまでもあったように、天候が悪くなれば、隣の島にすらいけない
ボートではありました。
聖ピョートル号を引き上げて修理することは提案されましたが、砂に埋まる
大きな船を引き上げたり直したりはできそうにありませんでした。
もう一案は、聖ピョートル号を解体し、その材料で新たに小ぶりの船を作る
という案です。どうやらキトロフの案らしいのですが。
一部「陛下に賜った船を壊すなどとは」と強硬な反対がありましたが、この案
は支持を集め、冬があけたら、船をつくり、残された全員で故郷を目指すこと
にしました。「ワクセル副官、キトロフ隊長、ステラー博士の名の下に」、
決議はなされました。
(ステラーはもちろん博士号は持っていなかったはずですが)
そして、春が来て、船作りが始まりました。
きしむ音とともに聖ピョートル号の釘が次々と抜かれ、使える船板が運び上
げられました。
その様子を眺めるワクセルは、態度には表さないものの、この選択が正しい
かどうか未だに迷う自分と向き合っていました。ベーリングの孤独が自分の
ものとなったことを感じていました。
ところで、この話を読むのに特に苦労の多いところは、海の動物と鳥の名前、
そしてそれ以上に航海や船や軍にかかわる用語です。
ある程度それらしく訳にしてみましたが、本当のところはわかりません。
次章タイトルは、少し間が開くかもしれませんが、「ステラー海牛」です。やっとたどり着きました。
「長い冬」というタイトルはワイルダーの物語を連想させられます。
ステラーはベーリングの死後、「少し」ではなくずいぶん変わった印象ですね。
人格者みたい。
追い詰められて、絶望のあと、秘められた底力が出てきたというところでしょうか。
ステラーカイギュウ登場、楽しみにしています。
by はてみ (2008-10-08 22:31)
ブログのデザイン(スキン)が変わって、
しかも記事の内容もいつもと違うので、
別の人のブログに来ちゃったかと思いました(笑)
by のぶあき (2008-10-08 23:43)
ついにクライマックス?
タイトルに合った写真ですね(イメージとして)
後半の暗い青の写真が好きです。
by HEIJI (2008-10-09 00:08)
この先が楽しみです
なら自分で本読めよ なんですが
by いぬ (2008-10-09 04:18)
船を解体して新しい船を造り直す。それがいかに大変なことかは想像に難くないので、
最良の方法として選択した彼らの置かれていた状況が、おぼろげながら見えてきます。
by キタノオドリコ (2008-10-09 07:11)
やばい仕事前に黙々と読んでしまって。。。
少し眠いです^^;
by くまら (2008-10-09 08:39)
おはようございます^^
リーダーがいなくなってもまたちゃんとリーダーが出てきて、
働き蜂が減るとまた働き蜂が出来る・・・
人間の素晴らしいところかしら~ 生きるか死ぬかの瀬戸際ですからね~
ふっと今の日本に思いを馳せました。
by mimimomo (2008-10-09 08:46)
楽しみにしてました。 希望を持つことは大切なことですね、次回を楽しみに待ちます。
by めもてる (2008-10-09 09:29)
前の記事を忘れていました^^
次を楽しみにしています。
by GUSUKO-BUDORI (2008-10-09 09:47)
おはようございます。最近は本を読んでいないので
続きが楽しみになります。
by としぽ (2008-10-09 09:58)
いよいよ海牛が出てくるのですね!
それにしてもとてつもない冒険ですよねぇ。
すごすぎて、悪夢にも見ないと思う…
by ぱふ (2008-10-09 11:25)
ステラーの再開ですね。
時間の経過を感じました。
続きを 楽しみにしています。
by yakko (2008-10-09 17:09)
凄い!!!!
by pace (2008-10-09 18:17)
画像がいいですね。 ^^
あ、海牛の事を忘れて冒険小説を読んでいる気分になっていました。
スミマセン。^^;
by 畑の帽子 (2008-10-09 19:47)
はてみさん、
> 「長い冬」というタイトルはワイルダーの物語を連想させられます。
松山千春の方ではありませんでしたか。
> ステラーはベーリングの死後、「少し」ではなくずいぶん変わった印象ですね。
> 人格者みたい。
もともと他人のためにという気持ちは持っていたはずです。だからこそ、いい加減に
生きる人たちに怒りまくるわけです。表現の仕方が子供っぽかったのでしょう。
のぶあきさん、
> ブログのデザイン(スキン)が変わって、
> しかも記事の内容もいつもと違うので、
> 別の人のブログに来ちゃったかと思いました(笑)
戻せなくなってしまいました。
週末にでもなおそうと思います。
HEIJIさん、
> 後半の暗い青の写真が好きです。
文だけで持たせるほどの力量はなく、それらしい空の写真をちりばめてます。
この場を在庫写真の処分にも使っていますね。
いぬさん、
> この先が楽しみです
> なら自分で本読めよ なんですが
他の人が読んじゃうといい加減に訳しているのがばれちゃいます。
気長に待ってもらえるなら幸いと思ってます。
キタノオドリコさん、
> 船を解体して新しい船を造り直す。それがいかに大変なことかは想像に難くないので、
> 最良の方法として選択した彼らの置かれていた状況が、おぼろげながら見えてきます。
先に書いたように、船には船大工やコルカー(水漏れ防止職人)も乗ってましたから。
運良く生き残ってくれていたのでしょう。
くまらさん、
> やばい仕事前に黙々と読んでしまって。。。
> 少し眠いです^^;
もうしわけございません。
mimimomoさん、
> リーダーがいなくなってもまたちゃんとリーダーが出てきて、
> 働き蜂が減るとまた働き蜂が出来る・・・
> 人間の素晴らしいところかしら~ 生きるか死ぬかの瀬戸際ですからね~
> ふっと今の日本に思いを馳せました。
人間ってすごいかもしれませんね。
めもてるさん、
> 楽しみにしてました。
遅れて申し訳ございません。
> 希望を持つことは大切なことですね、次回を楽しみに待ちます。
止めたと思われてましたか。ではなくて、ステラーたちの帰還への思いですか。
GUSUKO-BUDORIさん、
> 前の記事を忘れていました^^
私も忘れてますが、あらすじは、
壊血病とかで次々と人が死に、嵐の海を越えてやっと陸についたと思ったら、
そこは無人島で、提督のベーリングもまもなく息を引き取った。
としぽさん、
> おはようございます。最近は本を読んでいないので
> 続きが楽しみになります。
私なども雑誌さえBIRDERくらいしか読んでなくて。
ぱふさん、
> それにしてもとてつもない冒険ですよねぇ。
> すごすぎて、悪夢にも見ないと思う…
命がけってすごいですよね。
悪夢?そうですね。
冬の夜、獣脂の灯火に照らされ朗々と歌う小柄のドイツ人の夢を見たいです。
yakkoさん、
> ステラーの再開ですね。
> 時間の経過を感じました。
申し訳ございません。
とりあえず読み終えてしまって。
paceさん、
> 凄い!!!!
そうですか?あー、paceさんは嵐の海とか原住民とか読んでないですね、きっと。
いろいろすごいんです。
畑の帽子さん、
> 画像がいいですね。 ^^
ありがとうございます。在庫整理の雲写真ではありますが。
by 春分 (2008-10-09 21:23)
12月8日・・・ジョン・レノンと同じ日! とか
ロシアの揚げパン・・・♪ お母さんはロシヤのパンを焼く~(by たま)とか
そちらに思考が飛んで行く私・・・。(^^;
☆ 黒いスキンになって、写真が一層 輝いて見えるような気がします。
(^^)v
by びっけ (2008-10-09 22:20)
途中から飛び飛びに読ませていただいていたので、
ステラー海牛が何なのかわかっていませんでした。
過去記事のイラストを見て、びっくり。
春分さん、イラストもお上手なんですね!(←そこかい( ̄ー ̄;)
by チヨロギ (2008-10-09 22:36)
いつの間にか?ラッコが主食になってしまってますね。
ついに海牛ですか。どんな登場のしかたするのか楽しみです!
by かいつぶりん (2008-10-09 23:14)
極限の状態で生き抜いて行くためには、事態に順応して性格までも変われるのですね。
ステラー海牛、いよいよ大詰めですか。楽しみです。
by きまじめさん (2008-10-09 23:58)
続きが楽しみです。
和訳は時間が出来たらライフワークに
してみたい一つですが、春分さんのように、楽しく
忍耐強く出来るかちょっと心配です^^;
いつもありがとうございます。
by chichiの母 (2008-10-10 06:52)
黒い…黒いですね。スキン。ああ、びっくりした。
でも、なぜかいつもより読みやすかったかも。
で、写真も、遠い異国の風景にみえたかも。
by ゴーパ1号 (2008-10-10 22:27)
あ、そうか松山千春は「長い夜」だ。
by 春分 (2008-10-10 22:55)
今日は久し振りに、2日連続で記事を書こうと目論んでいたのですが、失敗しました・・・。
此処へ来て、久々のステラーカイギューの記事の面白さに、思わず読み耽ってしまいました。
次はいよいよ、ウミウシ…ではなく、カイギューの登場ですか。
次回が楽しみです。
おや、↑ こんなところに、オチが・・・しかも、コメントで・・・
by albireo (2008-10-10 23:33)
>航海や船や軍にかかわる用語
本当に、専門用語は難しいですね!
同じ言葉でも空軍と海軍で意味が違うとか、、、、、。
僕の場合、訳すわけではないので、適当に読み飛ばしています。(苦笑)
by lapis (2008-10-11 01:10)
次回はいよいよステラー牛vv
いよいよ核心部分ですね!
それにしてもアザラシの油で揚げたパンとか
ラッコのスープの方に関心がいってしまいますw
by lingnam (2008-10-11 08:04)
北の寒い冬の曇り空を思わせるような写真ばかりを載せたのも演出でしょうか。あとスキンが黒いのも(↑コメントを読むまで気づきませんでしたが^^;)。冒険小説のような内容と、マッチしているように思いました。さて、いよいよなのですね^^。
by sakamono (2008-10-11 13:53)
びっけさん、
> 12月8日・・・ジョン・レノンと同じ日! とか
なんと。
> ☆ 黒いスキンになって、写真が一層 輝いて見えるような気がします。
(^^)v
いやそれが、ノイズが目立つような気がしました。やはり身の程知らずだったかも。
チヨロギさん、
> 過去記事のイラストを見て、びっくり。
> 春分さん、イラストもお上手なんですね!(←そこかい( ̄ー ̄;)
うまくはないですが、当時は丁寧に書いてましたね。
かいつぶりんさん、
> いつの間にか?ラッコが主食になってしまってますね。
そうですよね、あんなにまずいと書いていたのに。料理法を見つけましたかね。
きまじめさん、
> 極限の状態で生き抜いて行くためには、事態に順応して性格までも変われるのですね。
いや何か素養はあったのかと思うんです。
仮にも選ばれし冒険者たちですから。
chichiの母さん、
> 和訳は時間が出来たらライフワークに
> してみたい一つですが、
ぜひ。私は英語が苦手でこんな様子ですが、きちんと全訳もしたいですね。
ゴーパ1号さん、
> で、写真も、遠い異国の風景にみえたかも。
歩いて10分範囲で撮ったものとは思えませんでしたか。
albireoさん、
> おや、↑ こんなところに、オチが・・・しかも、コメントで・・・
本当に「あー、長い冬かぁ、松山千春だな」などと思ってました。
lapis さん、
> 本当に、専門用語は難しいですね!
> 同じ言葉でも空軍と海軍で意味が違うとか、、、、、。
ありましたね。なんでしたっけね。いくつかあったような。
> 僕の場合、訳すわけではないので、適当に読み飛ばしています。(苦笑)
私もそうしてましたが、書いて残すとちょっとだけでも正確にと思いますし。
ingnamさん、
> それにしてもアザラシの油で揚げたパンとか
> ラッコのスープの方に関心がいってしまいますw
ラッコスープはまずいらしいのです。どれほどなものか、知りたいですね。
sakamonoさん、
> スキンが黒いのも(↑コメントを読むまで気づきませんでしたが^^;)。
> 冒険小説のような内容と、マッチしているように思いました。
そうかもしれませんね。
黒の方が写真が映えるようなので写真ブログの人は黒が多いですね。
私は写真ブログではないので、黒は避けていたのですが、
やってみると、わりといいような気もします。
by 春分 (2008-10-11 21:46)
最初から読んで やっとここに辿り着きました
by ゆう (2008-10-12 16:47)
次が楽しみです。
by ハギマシコ (2008-10-13 02:26)
ゆうさん、
> 最初から読んで やっとここに辿り着きました
本当にありがとうございます。
このネタには特に思い入れが強いのですが、なかなか進められずにいます。
でも、また次も読んでやって頂ければと思います。
ハギマシコさん、
> 次が楽しみです。
次は鳥も出てくる予定です。
by 春分 (2008-10-18 16:01)
쓰레기종자야 먹고살기그렇게힘드냐 거기가서 훌륭한사람악담이나하고 쓰레기인간들땜에 나라가이지경
by 합성연예인 (2013-06-10 22:21)