ヒトの想像力の及ばぬところ [雑感]
ヒトの想像力ということを思っていた。
鳥に翼があるように、虎に牙があるように、カモシカに逃げ足があるように、
ヒトには「想像力」がある(まあ、通常は「鳥に翼があるように」に続くのは
「人には言葉がある」あるいは「~労働がある」だが)。
走っても遅く、一撃で噛み殺す牙もない、身体に毒を貯めるでもなく、
子沢山でもないヒトは進化の過程で先を読む力「想像力」を磨いた。
穴を掘れば、そこに獲物が落ちて難なく餌が得られる、などなど。
食べ物の一部を地面に埋めたら、秋には百倍の実りを齎す、などなど。
ずっと先を深く読むために、ヒトは脳の大きな子孫を大切にして来た。
そのため胎児の頭が育ち過ぎて難産になったらしく、ヒトは早産になった。
早産の子供なので、ヒトの子は生まれて暫く目も見えず長らく歩けもしない。
親が大切に目も見えない、歩けない、首も据わらない子の世話をしないと
生きていけない。将来を担う競争力のある脳を持つ子であるための代償
(そして、ついでながら、そんな子育てのためには、生みの母だけでは
やりきれないので、父たるオスを手中に収める必要があった。オスを繋ぎ
止める方法として通年オスを受け入れる体勢を整えるべく、発情期を失った
(というか年中OKになった)とされる(らしい)。
という「人類の秘密」の妄想はおいといて、
地震で倒れてきた我が書斎の雑誌に
過去10年程の「日経サイエンス」があり、片付ける途中に、
地震関係の特集記事があるものはより分けて見てみた。
(すっかり、片付きましたが)
といっても、表紙に地震や津波の話をみつけたのは3つだけで、
2002年10月号の「どうなる東海大地震」と2004年6月号「揺れない
地震を見逃すな」、2005年3月号「インド洋大津波」の記事くらいであった。
それぞれの拾い読みをすると今回の地震の前の記事として、印象深い。
9年前の「どうなる東海大地震」に、「三陸沖ではいくつかの
アスペリティーが相互作用しやすい場所に位置しており、 (中略)
複数が連動するとM8級の地震が発生する」とあった。
東大の菊池正幸教授と中山佳子助手の仕事であると紹介されていて、
東北の沖のイラストまで載っている。
また、6年前の「インド洋大津波」の記事には、
『「日本の沖合いで発生する海溝型地震でもM9が発生する
可能性が本当にないか、改めて検討する必要がある」と指摘
する。』で終わっている。指摘しているのは、産総研活断層研究センターの佐竹
健治副センター長とある。
ヒトの想像力は様々な困難を引き換えに得ただけのことはあるように思う。
もっとも、残念なことに、今一歩のところで、
「原子炉の安全装置が津波で止まる」ことを想像しなかった。
また、その後の事態を想像仕切れなかった。残念なことだと思う。
(私は、情報開示も、政府そして東電の対応も最善を尽くしていると思う。
予想はいい方の予想と悪い方の予想の間でぶれるものだし、あっては
ならないミスもあるもので、それも前提としなければならない。「無策だ、
陰謀だ、隠蔽だ」と騒ぐ、ろくに勉強せず偉そうに叫ぶ新聞記者とかが
「○○野郎」だと思う。がんばれ!官房長官。がんばってくれ東電!)
ただ、
私の古い仲間などにも放射線について専門知識を持ち合わせている研究者
も幾人かいて、かれらの今の予想はどうも楽観的ではないので心配だ。
「ただちに健康被害はない」けども「長期的にはリスクは増す」と思っている。
関東でも子供や若い世代は外に出ないとか雨に当たらないとかの防備を
した方がいいと言い始めている。
専門家は自分の専門分野の大切さを語りすぎてシロウトを脅す結果になると
思うところもあるが、先の地震学者たちの想像力が信じられるものであった
だけに、私も少なからず不安に思い、子供らには気をつけるように言った。
「とりあえず、雨にあたるな。用が無いなら外に出るな。」と。
「揺れない地震を見逃すな」の記事は、それほど今回の件には関係ないが、
結語近くの一文は、いつも記憶すべきことかもしれない。
「~目に見えるものは、ほんの一断片に過ぎない。」
なるほど、そうなのだろう。
前記事で癒しておいて、また煽るようでいけないけども、注意深くいないとね。
by 春分 (2011-03-17 23:02)
すっかり片付いたとも言えますが、ずいぶん積み上げてありますね、だいじょぶ?
昨日会社に行くためになんとか始発に乗らなきゃとあせって、
気をつけようと思っていたのに雨にぬれ、しかも帰りが遅かったので、
ゆうべはお風呂に入らなかった…むむむやっぱり心配だから、
明日からは、気をつけよう。
by はてみ (2011-03-17 23:08)
レベル7はもうすぐです。
日本は分断されますね。
by Baldhead1010 (2011-03-18 05:06)
チェルノブイリにはなりません。
by Silvermac (2011-03-18 05:17)
まったく毎日よく揺れます。
大型ヘリが頭上を何度も飛んでいます。
外へは畑のトンネルの開け閉めで出る程度の今だけど
呑気な父親が放射能だけは心配してます。
長期戦でしょうからね。
by ゴーパ1号 (2011-03-18 05:40)
はてみさん、
> 明日からは、気をつけよう。
気をつけましょう。
キタノオドリコさんも無事だそうですね。
大きく一安心。
Baldhead1010さん、
> レベル7はもうすぐです。
楽観ではなく、「男は1%の可能性でも信じて戦うもの」と私達世代は
「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長に洗脳されてますから。諦めません。
まあ、「放射能除去装置」などないことは理解していますが。
Silvermacさん、
> チェルノブイリにはなりません。
日本のちからを信じます。
何人か、命をかけて今も作業しているのでしょう。
私達を守るため、この後の世代を守るために。
ゴーパ1号さん、
> まったく毎日よく揺れます。
しつこいやつですね。嫌われますね。
> 呑気な父親が放射能だけは心配してます。
お父さん世代であれば、問題ないと思います。
というか、今の調子でおさめてもらえたら、私の世代も大丈夫でしょう。
外に出るのは年長者がいいのかもしれません。
by 春分 (2011-03-18 06:19)
by 春分 (2011-03-18 06:20)
春分 さんコメントありがとうございます。
応援ブログ発信していきましょう。
私もその意見には賛成です。
日本を元気にしていかないとねv(o^Ⓓ^o)ニコ
by たもちゃん (2011-03-18 08:35)
そうですね、、、いま60歳以上の人なら大丈夫かも?
若い人には未来があるから、、、ちょっと心配ですね。
原発、、、早く良い方法があると良い。
昔、、ファミコンでシムシティというゲームがありました。
街を作るゲームで、、すごくハマりました。最後の所に大事故の設定の
が3個あって、、、中に原発のメルトダウンのがあってそれを抑え
沈火して地面の聖地をするというのがあった。
確か、、これをクリアできた。(ゲームですが、、記憶にあります)
原子力利用は、、終わりが無いのか、、、。
by ハギマシコ (2011-03-18 08:44)
日本はどうなる?
でも希望がなかったらもっと悲惨。。。だから未来を見つめる
by アッキー (2011-03-18 09:45)
原発が落ち着いてからの
政府の見解が楽しみです。
by くまら (2011-03-18 10:40)
情報公開とか説明責任とかいろいろ考えるところです。
ただ、今回の場合、新聞記者のやるべきことは、お決まりのように「社会的正義心」をふりかざして東電や国を締め上げることではないと私は思います。裏を返せば、この件はそれだけ深刻なことだとも思うのですが。
さて、ちょっとそれますが、人間は「早産」!かもしれません。でも、妊娠期間10か月ですよ!しかもそのあと立てるまで1年、おむつがとれるまで?年、これは長いですー・・・。たまたまその途中にいる人間なんでぼやいてみました(笑)。
by asahama (2011-03-18 11:05)
頭(脳)が大きいからか、頚でささえることが難しくなってきました~
私は心臓の手術の際、透視するのに0.43グレイの放射線をあびています。シーベルトは大気中の放射線濃度?実際に取り込んだ量がグレイのようですが、マイクロシーベルトやミリシーベルトの単位であらわされているうちは「どうってことない」って思っています。
by psvt.abl (2011-03-18 20:26)
津波は想定されていたんでしょうが、想像以上の津波だったんですね。原発の安全性を考える上で想定外は痛かった。
そういえばサンテグジュペリは「大切なものは目に見えない」と言ってましたね。ちょっと意味違うか。
by jan-ll8 (2011-03-18 22:00)
人間ってスゴイのだな。せっかく与えられた想像力なのに、あまり
役立てていない気がします。。雨気を付けます。外出も控えよう。
みずほ銀行のシステムトラブルで今月半ばに出た給料が引き出せ
ないことだし。。。。。
by po-net (2011-03-18 22:57)
お部屋きれいに片付いてよかったですね。
自然の脅威は人間の想像力を軽く越えてしまった気がしてなりません。
この事態の収拾に現場で当たっている方々には、頭が下がるばかりです。
by lingnam (2011-03-19 00:10)
マスコミも今回はかなりの批判を受け、お行儀が良くなってきたように見えます。
東京の放射線量は平常時の範囲内なので、私は全く気にしていません。とりあえず現時点では。
北関東では気分の悪い数値ですが、日本海側に引っ越したと思えば良いですね。とりあえず現時点では…。
by 地下木 (2011-03-19 00:21)
逃げるなら、どこの国がいいのだろう。
by ころくま (2011-03-19 07:33)
現場の人は命がけでしょう。
連日、マスコミがわけわからん質問を投げている様子を見ますが、
結局のところ、なにを聞いたって、なるようにしかなりませんよね。
素人の私的には、
原発の爆発してしまった建物まるごと入る
大きい箱みたいのをつくって、
とりあえず、放射能が外にいっぱい放出されないように
上からかぶせれば… とか思ったりしますが。
とにかく早く明るいニュースが聞きたいです。
by ちょこ (2011-03-19 08:26)
たもちゃんさん、
> 応援ブログ発信していきましょう。
仲間ですね。仲間が増えるといいですね。
いろんなかたちで、生き残ったみんなで復興しましょう。
ハギマシコさん、
> そうですね、、、いま60歳以上の人なら大丈夫かも?
悪い細胞が育つのには時間がかかりますしね。その前に方がつきますから。
> 昔、、ファミコンでシムシティというゲームがありました。
> 街を作るゲームで、、すごくハマりました。~
いろんなことをしてますねー。私も存じております。
同じ頃、ポピュラスという神様目線のゲームがあって、時々地震を起こして
調整を図ったりしたようですが(こちらはあまりやってないのだけど)、
思えば、とんでもない話ですね。
アッキーさん、
> 日本はどうなる?
よくはわかりませんが、あと4,5日でだいぶはっきりするでしょう。
くまらさん、
> 原発が落ち着いてからの
> 政府の見解が楽しみです。
もうだいぶわかってきたようにも思いますから、本当のことはまた20年以上たってから
公開されるのかもしれません。平均寿命程度も生きたなら、その場に居合わせるかな。
asahamaさん、
> 情報公開とか説明責任とかいろいろ考えるところです。
> ただ、今回の場合、新聞記者のやるべきことは、お決まりのように「社会的正義心」
> をふりかざして東電や国を締め上げることではないと私は思います。
「正義を語る者」は時々だめなやつであったりします。自分の分際を超えてちからを
見せ付けたいとか利益を得たいと思うことから強そうな後ろ盾として「正義」を利用す
る輩です。正義は自分のために利用する道具ではないのに。
> 裏を返せば、この件はそれだけ深刻なことだとも思うのですが。
与野党が協力してしまうほど深刻でしょうが、まだ協力しないですね。
> さて、ちょっとそれますが、人間は「早産」!かもしれません。でも、~
「想像力」を手に入れる代償は安くはないですね。でも、得るものはプライスレスです。
psvt.ablさん、
> 頭(脳)が大きいからか、頚でささえることが難しくなってきました~
私も緊張が続くとすぐ首の後ろが張ってしまって。想像力の代償ですなー。
> 私は心臓の手術の際、透視するのに0.43グレイの放射線をあびています。
> シーベルトは大気中の放射線濃度?実際に取り込んだ量がグレイ~
「シーベルトという知らない単位が出てくるからわかりにくい」とか言う記者
には「もう少しまともな記者を育てておけよ」と思いました。
もっとも私くらいの世代ですとレムとかレントゲンという単位の方がなじみで
確かにすぐには想像力が働かないのではありますが。
jan-ll8さん、
> そういえばサンテグジュペリは「大切なものは目に見えない」と言って> ましたね。ちょっと意味違うか。
そのことは意識にありました。「見えないもの」にはいろんな意味がありますね。
po-netさん、
> 雨気を付けます。外出も控えよう。
積極的に引きこもりましょう。
> みずほ銀行のシステムトラブルで今月半ばに出た給料が引き出せ
> ないことだし。。。。。
泣きっ面に蜂ですね。いや、みずほの人達も相当恥ずかしい思いでいる
のかと思いますし、責めてもしょうがないですけどもね。
lingnamさん、
> 自然の脅威は人間の想像力を軽く越えてしまった気がしてなりません。
そういうものだと思うことは日本だけじゃなく世界中の人に必要なのかも。
> この事態の収拾に現場で当たっている方々には、頭が下がるばかりです。
とりあえず、北に一礼して寝るようにします。頼んだぞと。命を削っていると
知っているからなと。
地下木さん、
> マスコミも今回はかなりの批判を受け、お行儀が良くなってきたように見えます。
日刊ゲンダ○と週刊現○だけは菅総理批判のトーンを上げてますね。
小さい間違いをすべて総理のせいにしています。何があるのやら。
こんなときに、たぶん、自分の都合でしょう。
> 東京の放射線量は平常時の範囲内なので、私は全く気にしていません。
> とりあえず現時点では。
私も年齢的に気にしていません。
子供世代もまあ大丈夫でしょう。
ころくまさん、
> 逃げるなら、どこの国がいいのだろう。
地震と津波だけ気にするなら欧州ですかね。ドイツ、フランス。
原子炉を考えるとそこも駄目ですね。じゃ、アフリカ。うーん、別の問題が。
日本でがんばりましょう。
ちょこさん、
> 結局のところ、なにを聞いたって、なるようにしかなりませんよね。
そうなんですが、そこまでいっきに行かなくてもいいかなと。
> 原発の爆発してしまった建物まるごと入る
> 大きい箱みたいのをつくって、
私も似たようなことを考えました。メキシコの油田の時と似てますね。
或いはソ連のあれの時の石棺か。
それと、遠隔操作ロボットは使えないのかなと思いましたね。
やはりまだなのか。あるいは使っているのか。出番かと思いましたが。
by 春分 (2011-03-19 15:14)
すごい本ですね。この本が、寝ているときに崩れてきたら痛そう。
東電・政府は、当初第原発の1号炉、2号炉、3号炉の原子炉圧力容器の中の燃料棒の溶融を防ぐことのみにきをとられて、使用済み燃料棒のことは、4号炉が爆発するまで気がつかなかったようです。15日に。フランス当局は、福島原発事故をレベル6と判定しています。日本は昨日やっとレベル5に引き上げました。日本とアメリカ、ドイツ、フランスなどと、事故の深刻さの認識の違いが余りに大きいですね。
by テリー (2011-03-19 19:32)
書籍が落ちてきたようでは結構揺れがあったようですね。
こちらは地震も長くゆらりゆらりと揺れていましたが、棚からものが落ちてくる帆ではありませんでした。
津波は線路が冠水したようでポイントが動かなくなったのが2カ所、特急の振り子装置がどうとかと新聞にでていました。
by mamii (2011-03-19 20:34)
すっかり片付きましたね。
何年も本を取って置けるのは良いですね。
観終わったら処分しています。
by としぽ (2011-03-20 20:14)
想像力うまく生かせるとイイなぁ~、つくづく思います‥(._.)φ
by すぅ〜ちん♪ (2011-03-20 20:37)
津波で原子炉の安全装置がとまることは想定外だったと思うし、今も現場で命懸けで動いてくれている人達がいることに頭が下がります。
責任は後から問えばよい、今はとにかく安全にと祈るばかりです。
by れもん (2011-03-20 20:39)