SSブログ

ヤマボウシの進化とサル  (写真はサンシュユ) [科学]

mimimomoさんのところでヤマボウシの話が盛り上がっていましたので、
お題を頂くかたちで、こちらに「ヤマボウシとサル」の話を書いてみます。
ヤマボウシとハナミズキの実の違いの話です。

ネタ本は、週間朝日百科「植物の世界」(平成7年1月29日号)。
ブログの草花を見て回るときに重宝しています。
以下、引用部分は『(太文字)』で示します。引用部分は八田洋章さんという方が書いていました。

さて、ヤマボウシ。
『和名は「山法師」の意味で、球果の花序を僧の頭に、白い総包をその頭巾に見立てた。』
テルテル坊主のようなニュアンスでしょうか。

そして、コラム「ヤマボウシの進化にサルが介在?」
コラムは下記のように始まります。
『米国スミソニアン研究所の故リチャード・K・アイド(R. K. Eyde)は彼の論文の中で表題のような興味深い、いささか奇抜と思えるような意見を提示している。』

『新世界原産と旧世界原産の両グループが、共通の祖先を持っていることは、さまざまな面から証明されている。』
(新世界グループとは北アメリカ産のハナミズキグループ、旧世界産とはユーラシアのヤマボウシグループです。)

『両グループ間の最も顕著な相違は、果実の形状にある。新世界のものは房状につく単果で、個々の果実は容易に房から離れてしまう。これに対し、旧世界の種群は、小花の子房壁が癒合して1個の集合果となる。』
 推論の過程は省きますが(このあたりも面白いのだけど)、この後、実の形の進化は
種子分布の差に違いないと話は進み、
『ミズキ属の果実を食べる動物を消去法で整理していくと、結局サル(マカク類=ニホンザルの仲間)が残るとアイドはいう。』

つまり、サルが掴みやすいように進化したってことですね。

(余談:マカクは東南アジアにもカニクイザルとか色々います。
英語でMacaque。属名Macaca。「おサルのお尻はマカカ」と覚えるといいらしいとか。)

 そして、また途中は省きますが、最初は世界中で北米型だけだったのに、なぜ旧世界
だけ変化したかについて、下記のように結んでいます。
『新世界のサルは赤色を区別できないこと、暖地に生息していて温帯域のミズキ属の果実を直接採取できなかったため、北アメリカでは古いタイプの果実のみ保持し続けることになった、と。』
 後の方の説明だけでいいようにも思いますが、新世界ザルだけ赤がわからないというのも面白く感じます。

ついでに、一緒に載っていたミズキの仲間の分類表も載せておきます。
----------------------------------------------------------------------------
代表種      葉序  花序  染色体数 分布域   属を細分した場合の代表属
----------------------------------------------------------------------------
ミズキ       互生  集散   10   アジア・北米       Swida

クマノミズキ    互生 集散   11   アジア・欧・米      Swida

ゴゼンタチバナ  互生 2出集散 22   周北極     Chamaepericlymenum

サンシュユ     互生  散形    9   アジア・欧・米     Cormus

ハナミズキ     互生  団散   11   北米         Benthamidia

ヤマボウシ     互生  団散   11   アジア        Benthamidia

----------------------------------------------------------------------------

我が家のハナミズキは枯れてしましましたが、サンシュユははやしています。
サンシュユの花序「散形」というのは他のミズキのように種が幾つか集まっているのでは
なくて、花1つに実が1つ種1つだということですね。

我が家のサンシュユ


 団散       集散      散形 
 
以上、誰かの何かの参考になればと。
(って、書いてみたけど、何の参考になるとも思えませんかね。)


赤ちゃんでの実験という話 [科学]

日経サイエンス11月号の、細かい話ながら、編集後記「セミコロン」から
ちょっと雑感を。

日経サイエンス 11月号 [雑誌]

日経サイエンス 11月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日経サイエンス
  • 発売日: 2005/09/24
  • メディア: -


「~赤ちゃんにヒューマノイドロボットの映像を見せるという実験を行いました。
ところが途中で泣き出してしまい、データをとれなくなってしまうことも少なくなかったそうです。
ロボットが怖かったのかな?」(「セミコロン」から)


本当に怖かったんじゃないのかあ!トラウマにならないか?


実験という言葉には、どうも非人間的なニュアンスがつきまとう。

ちょっと、居心地の悪い話だと思った。




そこで思い出したのはマンガの中に挿入された逸話。

確か「はみだしっ子」(三原順)の中の話。


*****
ある王様が考えた。
言葉を習わなかったら、人間はどのような言葉を話すだろうか?
神の言葉ラテン語か?古代ヘブライ語か?」。王様は赤ん坊で実験を行った。
赤ん坊は丁寧に世話されたが、一切の言葉を掛けられることなく育てられた。

それで、どうなった?


続きを読む


「脳の主役はグリア細胞か?」という話 [科学]

日経サイエンス04年7月号18~27頁よりの内容から。
タイトルは「思考をつかさどるグリア細胞」
キャッチがついていて、「脳には隠れた主役がいた!」

少し古い話だし、ネット上にも専門の方々が書いているが、
昨年一番ぶっとんだのがこの記事だった。

(ただ、面白さを伝えられる自信がない。つまらなかったらすみません。)

==========
グリア細胞って何だろうと言う人もいると思うのだけど、
日経サイエンスの記事を読む前の私の知識は以下のような
内容だった。
・脳に神経細胞と共に存在し、神経細胞に栄養供給する(?)。
・アインシュタインの脳には(脳細胞数は人並みながら)
 グリア細胞は人並み外れて多かった。

記事の内容に従い、補足すると、
・脳や脊髄では神経細胞の9倍を上回る数存在(多いな!)。
・アインシュタインの(高次思考を司る)連合皮質で
 この細胞が非常に多く、他の部位よりはるかに多かった
 (そういうことだったか)。

ところが、
このグリア細胞は単なる栄養供給係ではないらしい。
神経細胞が電気信号ネットワークを作って情報処理システム
として働いているというのが常識と思うのだが、グリア細胞
のやつは電気信号とは違う独自のネットワークを持っているし、
それが神経細胞の活動を制御しているらしい。
つまり考えることに関係しているってことだ。
その筋の研究をしている人にはもう常識かもしれないが、
ここ数年でわかってきたことらしいし。私は驚いたな。

つまり例え話にするとこんなことか:
自治会長さんたちの総会だけで進んでいた話が、
本当は、うわさ話とか、井戸端会議とか、飲み屋の密会とか
さまざまなコミュニケーションで方向性が決まっていたみたいな、
そんなところか(もっと良い例えがあるといいのだけど)。

グリア細胞はともかく神経細胞の9倍存在するわけで、
ついでに言うと、神経細胞と違い増えることができる細胞だ。
脳のイメージがずいぶん変わった。


地球上最大の生物は「ボリボリ」の仲間 [科学]

地球上で最も巨大な生物は「ボリボリ」の仲間であるらしい。 

余り新しい話ではないし、ネット上にも2,3書かれていたけど、ちょっと書いておきたい。

東北・北海道の人は、ボリボリが何であるか知っている、たぶん。
そのほかの人は知らないだろう。

共通語ではナラタケ。ようするにキノコで、美味しい。
さっぱり密度の低いぱさぱさしたやつだが、煮るとぬめぬめする。
ボリボリの味噌汁は特に美味い(主観ではありますが、賛同も多く頂けると思う)。

 ボリボリの仲間のヤワナラタケが地上最大の生物とされたのは1992年らしい。
 もちろん、キノコ1本はそんなに大きいわけではないし(そうだったら怖いよなー)、
いっぱい生えていてもたかが知れている(それでも怖いだろうなー)。しかし、この
キノコの本体は地下の菌糸で、それが調べて見ると山一つ繋がっていたらしい。
遺伝子が単一であるそうだ。
ミシガン州で見つかり、推定重量100トン。15ヘクタールに及んだらしい。
ついでに推定年齢1500歳。

「ナラタケの仲間」の話ではある。でも北海道のボリボリも山一つ繋がっているのが
いて不思議はないと思う。菌糸は見た目は黒い針金のようなやつだそうで、見た
記憶があるようなないような。

(でもヘクタールって1km四方だろう。計算すると1m四方では6.7gしかないんだ。)
追記訂正:およそ2年が経とうとする07年6月にご指摘を受けました。
1ヘクタールは100m四方ということで、1m四方で667gということです。
考えるとこっちの方がずっとリーズナブルかな。でも、これはずいぶんな量ですね。
(以上、2007年6月27日追記)
 
なお、まじめなキノコ情報は週刊朝日百科「植物の世界」別冊「キノコの世界 菌界1」より。
この号の監修は椿啓介先生。先月亡くなられた(お葬式に行った友人からの情報)。
かっこいい先生でした。ご冥福をお祈り致します。


キリストの誕生日は4月17日らしいと知る [科学]

科学かどうかは微妙なところだけど、

ディスカバリーチャンネル(スカパーの)で、
「ミイラが明かす謎-3人の王」というネタを放送していた。
キリストの生誕を祝った東方の三博士の話。

要約すると、
そもそもキリストが生まれたのは紀元前5~6年であることを示し
(西暦を作った人が凡ミスを犯した)、12月25日を誕生日とする
根拠がないことを説明した後、当時の天体運行をコンピュータで再現
し、「ユダヤの王が誕生した」という天の啓示が実際どのようなこと
であったか示していた。例の突然現れた星の件。
もちろん本当かどうかはわからないけど、散々いろいろな人が考えて
わからなかった(彗星ではないと証明されているらしい)この星のこと、
どうやら正しそうな答えがみつかった(らしい)。
金星と火星に導かれるように(その線上に)、現れた木星が「王の中
の王」を示していたという話です。その出現位置はおひつじ座の中。
おひつじ座はユダヤを表し、占星術から「ユダヤの王」を示すと。
そして、その王の星が出現したのは4月17日だと。
したがって、イエス・キリストの誕生日は4月17日だと。
(知らなかったな)

 ユダヤの王の誕生を知った三博士はペルシャの地より旅して、
12月19日にベツレヘムのキリストの下にたどり着いたそうで、
これも「星に導かれた」のだけど、この星も木星。
もちろん、なぜペルシャなのか、なぜ12月19日かも木星の運行と
聖書の表記を照らして説明していた。

 衒学の色濃い謎解きは魅力的。ちょっと出色の放送だったかと。

 この話、これまで何度か放送されたようで、9月も何回か放送
される。

 ちなみに、ミイラ研究のシリーズで放送されながらもミイラは
出ないが、この3人の頭蓋骨が残されているという話から、
ミイラ研究者の目に留まったらしい。ドイツのケルンの大聖堂
にその頭蓋骨は残されており、中世以降の捏造ではないという証拠
があるらしい。

蛇足なのだけど、
「3人の王(Three Kings)」って、言い方よりも私は
「東方の三博士」の方がなじみがあったけど、どうだろう?
今日では、原典の通り「Magi(マギ)」で通るかもしれないけど。
エヴァンゲリオンのおかげで、3人の名前まで言える人が増えて
るから。でも、この名前は、原典にはなく後の作り事らしい。


nice!(2)  コメント(5)  トラックバック(1) 
共通テーマ:日記・雑感

「やっぱり違う男と女の脳」という話 [科学]

旧聞ながら、今年1月、ハーバード大の学長が失言してしまったらしい。
「科学分野で女性の高水準の研究がないのはなぜか」と問われて、
「女性の資質の問題かもしれない」と言ってしまったらしい。
つまり、脳のつくりから違うということらしい。大論争になったようだ。
CNNイングリッシュという英語学習雑誌の6月号にこの話にまつわる
議論が載っていて、面白い。

男女の考え方に差があるということは多くの共感を呼ぶようだ。
ただ、ポイントは、差があることで優劣の問題に行くのが少し短絡が
過ぎた様子があると思われる。

さて、本当に書きたいのはここから。
日経サイエンスの8月号には「やっぱり違う男と女の脳」という特集が
組まれている。
一例だが、テキサスA&M大の(何だ?A&Mって)研究によれば、
サルで既に、オスはボールやパトカーのおもちゃをより多く手にして
メスは人形や赤い鍋をより多く手にする傾向があるということだ。
ちょっと面白かった。
人間の生まれたての赤ん坊でも同じような研究が紹介されている。

もちろん、個人の差の方が大きいであろうことはみんな断りを入れる
のだけど、割と、本来の差が思ったよりも大きいらしい。

MacでもWindowsでもExcelが動かせるのと似てるかな?
不謹慎発言だろうか?


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(2) 
共通テーマ:ニュース

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。